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黄色い空っぽのボウルから離れない2匹の犬のイメージ図

人間なら人によって好みの色が異なるが、インドの野良犬には特別に好きな色があるという。

例え他の色のボウルに美味しそうな鶏肉や大好物のおやつが入っていても、空っぽの黄色いボウルに真っ先に飛んでいくほど黄色に魅せられているのだ。

それにしてもなぜ黄色なのだろう?インド科学教育研究大学の研究チームによって科学的に確認された事実を見ていこう。

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犬の好みの色を探る実験

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研究チームは、インドの野良犬134匹を対象に、エサの入った黄色・青・灰色のボウルを見せて、そのうち1つを選ばせるという実験が行った。

すると半数以上(72匹)の犬たちが、まっしぐらに黄色いボウルへと向かったていったのである。

次にエサを入れないで同様の実験を試みても、やはり黄色が選ばれることが確認された。

この実験に参加したのは野良犬で、何か訓練をされていたわけではない。なのに、なぜ、そんなにも黄色ばかりが選ばれたのか?

たとえ餌が入っていなくても黄色を選ぶ犬が多かった。

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3つの色のボウルを使ってインドの野良犬たちの色の好みを調べる。多くの犬が黄色いボウルを選んだ / Image credits: Roy et al (2025)

もう1つの実験では、エサ(ビスケットか鶏肉)入りの灰色のボウルと、エサの入っていない黄色いボウルで、同じようなことが行われた。

すると驚いたことに、野良犬52匹中41匹がエサの入っていない黄色いボウルを選んだのである。つまり犬たちは、食欲を凌駕するほど黄色に魅せられているということだ。

なお研究チームは、この犬の行動にニオイが関係している可能性も探っている。ボウルにカバーをつけて、色が見えないようにして実験を行なったのだ。

だがこの条件では、黄色いボウルは選ばれなくなった。やはり犬たちは、目で黄色を見て、それを選んでいるということだ。

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また犬たちはほかの色が嫌いなわけではなく、あくまで黄色が好きなのだということも確認されている。

134匹中72匹の野良犬が黄色いボウルを選んだ/Image credits: Roy et al (2025)

犬の色覚と関連か?

その理由の1つは、犬の目の作りにあるかもしれない。

色が見えるのは、目の中にある「錐体細胞」という細胞が光の波長に反応するからだ。人間は、3種類の錐体細胞があり、それぞれが赤・青・緑の波長に対応しているため、3色型色覚だ。

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だが犬の色の見え方は人間とは異なり、2色型色覚だ。そのため、青と黄色は比較的はっきり見えるが、赤や緑を見分けるのが苦手である。

彼らが見ている世界の色は、人間なら赤緑色弱の人に似ており、赤・オレンジ・緑といった色は、くすんだ黄色や灰色のように見えていると考えられている。

つまり犬が黄色を好むのは、それが彼らにとってはよく目立つ色だからという可能性はある。

だが、もしそうなら、なぜ犬の目はそのように進化したのかという疑問が残る。

なにしろ今回の実験では、腹ペコなはずの野良犬たちが食べ物よりも黄色を選ぶくらい、大好きな色であることが明らかになっているのだ。

先祖であるオオカミの時代の名残か?インドという国の特性か?

なぜ犬がこんなにも黄色を好むのか確かなことはわからない。だが研究チームの仮説によるなら、「生態的価値(ecological valence)」が関係している可能性があるという。

つまり犬の進化の歴史の中で、黄色は食べ物や安全といった好ましいものと結びついていることが多かったのかもしれないのだ。

そして、このことにはインドという特殊性もあるかもしれないと、研究チームは考えている。

たとえばインドの食べ物といったら最初に思い浮かぶのは皆一緒のはずだ。そう、カレーである。

インド料理には黄色いターメリックや真っ赤な唐辛子がよく使われる。そしてインドの野良犬が主に食べているのは、そうした人間たちのおこぼれなのだ。

だからインドの犬にとって、黄色は食べ物を意味するのかもしれない。

だが、ピンク色をした生肉や血もまた、2色型色覚の犬の目には黄色っぽく見えているのだろう。

だとするならば、黄色を好む犬の傾向は、オオカミだったときの時代に根ざすもので、現代の犬やオオカミにも受け継がれている可能性がある。

となると、気になるのはインド以外の犬や、家庭でペットとして飼われている犬たちがどうなのか? という点だ。

犬を飼っている人に質問だ。 あなたの家の愛犬は、黄色いボウルやおもちゃにやたらと興奮したりはしないだろうか?

それを証明できれば、犬には普遍的な好みの色があるということになる。

実は今回の研究を行ったインド科学教育研究大学と、カナダブリティッシュコロンビア大学が共同で、国際的な犬の好みの色に関する研究を行おうとクラウドファンディング[https://crowdfundraising.ubc.ca/projects/dogs/]を行っていたようだ。

目標金額4000カナダドル(約41万5000万円)に対し、130ドル(約1万3500円)しか集まっておらず、残り日数は0となっているのだが、研究は実行されるのか?気になるところだ。

この研究は『Animal Cognition[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39903295/#full-view-affiliation-1]』(2025年2月4日付)に掲載された。

References: Do dogs have a favorite color? New study suggests it might be yellow[https://www.zmescience.com/ecology/animals-ecology/do-dogs-have-a-favorite-color-new-study-suggests-it-might-be-yellow/] / Indian street dogs show strong preference for yellow bowls, even empty ones[https://phys.org/news/2025-02-indian-street-dogs-strong-yellow.html] / Crowdfundraising.ubc.ca[https://crowdfundraising.ubc.ca/projects/dogs/]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。

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(出典 news.nicovideo.jp)

 

犬も自分の好きな色を持っているというのが興味深いですね。特に黄色に惹かれるというインドの研究結果は、犬の視覚に対する理解を深める手助けになります。このような知見が進むことで、犬とのコミュニケーションや飼い方にさらなる工夫が生まれるかもしれません。

<このニュースへのネットの反応>

やっぱりインドならではの線は考慮するよね。

 

うちの子は白が好きだったな。国によって違うのはあるかもね、生肉やらの影響があるなら好物の種類にもよりそう。

 

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